「お、オイッ!!なんで喧嘩しないんだよ!

オレは喧嘩売ってンだぞ?!買えよ!!みんな言ってたんだ!西野ならって!!」



必死に自分の方を向かせようと大声を張り上げる武藤。


まるで駄々をこねた子どもだ。



「武藤。あんた、なんでそんなに喧嘩したいの?」


そこまで必死になってまで、喧嘩に何を求めるの?



「…理由なんかない。

ただ、喧嘩してないとオレは…オレじゃなくなるから。」


そう言って足元倒れる机を起こし、散らばるノートや消しゴムを拾い出した。



俯く顔の表情は見えない。



「もういいや。ヤル気失せたわ。
西野、邪魔して悪かったな。」



顔をあげた武藤の目は、どこか冷めていて光が感じられない。



なにも見ていない。