恋百物語


ため息をついて上を見上げると、プリントを抱えて窓から身を乗りだしている熊谷さんがいた。




「これ、あんたのー!?」

「うん。ごめん」

「今持ってくー!」




無駄に大声で喚くテツと短い会話を交わした彼女。

ゆっくりとその視線が俺に移されていく。






まだ肩で息をしている俺を見て、彼女は確かに笑った。





「テツ」

「ん?」






楽しそうに。

うれしそうに。