「杏奈ー、並ぶ気力がなかっ…」 杏奈? 杏奈はケータイの電池パックカバーの裏を見ながら 小さく 泣いていた 「…っ」 仕切りにしゃくりを上げている 私の存在に気づいた瞬間 涙を急いで拭い いつもと同じ笑顔を向けた 「何、波菜戻ってたの?もー、声かけてよ」 「あ、ごめ…」 「てか、苺ミルクは?」 「え、えーと… 買ったひょ?」 「貴様、買ってねぇな」 「ごめんなさい」 ちらっと杏奈を見ると 目を赤くしていた ずっと泣いていた証拠