「吏貴」 不意に俺の名前を呼ばれた 振り返るとそこには 「龍…」 龍は無言で俺の横に来た 「何だよ、お前教室居なかったじゃん。俺、かっこいかったのに」 ポケットから煙草を取り出すと指の間に挟み 火を付けた 「やめろ、臭いが付くだろ」 俺は火を消させた 「ちっ、かってぇなぁ…てか、お前、何で居なかったん?」 「別に。面倒だったからだよ」 その場を去ろうとした しかし 「あの女、世莉に似てるな」 ドクンと心臓が跳ねた 世莉 世莉 世莉 世莉… 何度も頭で同じ名前が 行き来する