しばらくの間、2人は何も喋らなかった。 急に気まずさに襲われ、そっぽを向いていた。 そして先に、ミミが口を開いた。 「ううん。気のせいだよ」 言えない。 言ってはいけない。 隠し通さなければいけない。 でもミミは嬉しかった。 心のどこかで気づいて欲しいと思っていたから。 「そうか、やっぱりそうだよね。あはは、なんかごめんね」 後ろ頭をかきながら、タクトは笑った。 『これでいいんだ』 この夢がさめれば、もう一生会えないから。 もしバレたら、一生後悔してしまうから。