「はーい」


中から男の子の声がした。


間違いない、あの時聞いた優しい声だ。



ゆっくりと扉が開いた。



そして、



「えっと……どなたですか?」



出てきたのはあの、ミミが恋した男の子だった。



『そっか、この姿のあたしを知らないんだ』


ミミにとっては二度目だけど、男の子にとってははじめましてなんだ。



「あたし、森の向こう側に住んでるんです。うちの家、満月の夜にお団子を作る習慣があって、余ったからどうぞ」


手に持っていた袋を差し出すと、男の子はにっこり笑った。


「いいの?ありがとう!おいしそうだなぁ」



『喜んでくれた』


それだけでミミは幸せになった。