「………」

「………」

先輩と千尋は
また険悪な雰囲気を漂わせて
沈黙が続いた

「…お前、唯が好きだったわけ?」

そんななか先に声を発したのは
……千尋だった

「うん。好きだったよ…ずっと」

さらっと言われた言葉に
かぁっと赤くなると
千尋は眉を寄せてさらに
不機嫌になったのがわかった

「……よかったな」

「え…」

「これで晴れて両想いじゃん」

「ぁ……」

嫌だと思った

先輩が好きなはずなのに
今あたしは千尋の言葉に傷ついてる…

心にズキッと痛みが走って
うまく声がでない
恐いのに千尋から目が離せない

「おめでとう」

千尋は無理矢理作った笑顔見せる

ハッとした時には
もう遅くて
千尋が去っていく姿を
あたしは見ていることしか
出来なかった……


どうしよう…あたし…

すぐ近くにいたのに…
いつも隣にいたのに…

ポロポロと涙がまたこぼれた




千尋が“好き”だって
気づいてしまった…