マンションの前まで来ると

「げっ…」

またいたあいつ

「……おかえり」

膨れっ面でそういう千尋は
あたしをチラッとみて
次に先輩をみて睨みつけた

千尋と先輩の間に険悪な空気が漂う…

いや、正確には千尋だけに、だろう


「あっ、せ、先輩!送ってくれてありがとうごさいました!」

この空気がここんとこずっとあって
いつも堪えきれないあたしは
先輩にお礼をいって
千尋を連れて帰るのだ

あたしは千尋に近づき腕を掴んだ

「千尋いくよ!じゃ先輩さよなら!」

「うん。じゃーね」

先輩の後ろ姿を見送って
あたしは千尋とマンションに入った