そのあとは、あまり覚えていない。 ただ、泣きながら拓夢を家から追い出した。 『絶対別れねぇから…っ!!』 拓夢の背中を無理やり外へ押しやり、ドアを閉めようとした瞬間、拓夢が私に向かって叫んだ。 ドアを閉めて、私は扉を背に泣き崩れた。 「ごめん、ごめん、ごめんなさい…」 思い出すのは、優しい笑顔 照れた横顔 抱きしめてくれた時のぬくもり 大好きな、拓夢の匂い---- 涙が、止まらなかった。 私は、自ら大切な人を失った。