「それより、いつもの頼むわ。浅倉は?って知らないか。」
「知らない。何があるのかさえも。」
「んじゃ、おじさん。
さっきの追加で。」
はいよ、とおじさんは元気に返事をしてラーメンを作り出した。
確かここってよく見たら。
「懐かしいだろ?
小学生の頃、うちの親父とよく来たよな。」
「うん。」
家に帰るのが嫌な時とかに、雄貴の家に行くと雄貴パパが連れてってくれた。
あの時は、もうひとりお父さんがいるみたいで嬉しかったような気がする。
「はいよ、ラーメンセットね。」
運ばれてきたのは、ラーメンと炒飯だった。
「待って、お酒飲んだあとにこの量って重いわ!!」
「そ?
案外いけるぜ?」
一緒にしないでほしいよ、君の胃袋とあたしの胃袋を。
一応は、女子なんだよ?
なんだ言いながら、ラーメンを一口すする。
「ん、おいしい。」
だろ、なんて自分が作ったみたいに雄貴はドヤ顔する。
しかし、ラーメン屋って久しぶりな感じ。
あたしたち家族が行くのは、ファミレスだし、保さんと行くのはレストランだし。
保さんと行くのは、気取ってあって品がある店で。
あたしなんかが居ていいのかなって思っちゃう。
気を使っちゃうし。
終わった後のほうが、案外疲れるんだよね。

