「雄貴、浅倉を送ってやれ。
帰り一人だろ。」
このやろー。確かに気にしてないって言っても。
二人きりとか、いくらあたしでも気まずい。
断ってくれ。
あたしの願いも虚しく。
「こうなっちゃうのね。」
雄貴と帰ることとなった。
あたしは、今日ほど恭ちゃんを怨むことはない。
「ん、なんか言った?」
「こっちの話。」
何食わぬ顔であたしの顔を覗き混んでくる雄貴の行動に若干の疑問を浮かべた。
そうすると。
「浅倉って変わんないな。」
いきなりの、雄貴の言葉に戸惑った。
「は、それっていい意味で?
それとも悪い意味かな?」
雄貴の嫌味なような発言に、逆に質問した。
そしたら。
いい意味に決まってるじゃん、って言われた。
「浅倉も変わんないけど、この風景も変わんないな。」
雄貴は、近くの風景をまじまじと見ながらいった。
「訳わかんない。
雄貴ってたまに変なこと言うよね。昔からさ……」
「そうだっけ?」
確かに、変わってないよ。
風景とかさ……
あたしも変わんないって何?
あたしだって……。
本当に変わらないものってあるのだろうか。

