二人で実家からあたしの自宅まで歩いていると、段々と保さんの口数が少なくなってきた。


「疲れました?
元気でしょ、藍里。」


「君があのくらいの時、あんな感じだったのだと一人で楽しんでた。」


疲れ知らずとは、この人のことをいうらしい……。


「あんなんじゃないですよー。藍里は、元気すぎるんですよ。あたしは……」


「確かに、君と会った時は大人しかった。
大方、高校の時に何かあった違うか?」


ピンポイントで当ててくる保さんにびっくりして、すぐに返答が出来なかった。


「俺に言えないこと?」


「え?」


「何度も言うけど、俺は君の全てが知りたい。
だから、ダメか?」


保さんから、そう言って貰えるのは嬉しいけど。


「今は、言えそうにない?」


首をコクんと縦にふって、保さんは「そっか」といいながら、黙った。

言えないわけじゃない、だけど話してたらダメになる気がしたから。


その時は、何故かそう唐突に直感した。