それから何事もなく月日だけが過ぎて
そして季節は巡って、夏になろうとしていた。
「お姉ちゃん、明日暇?」
誘いは、突然だった。
歳の離れた高校生の妹は、あたしの家に珍しく遊びに来たと思ったら。
「暇って別に暇って訳じゃないけど、時間は空いてるね。
どうした?」
「お兄ちゃんの野球の応援に行こうよ。」
お兄ちゃんというのは、あたしのから言えば、弟の直人。
今年、高校生最後の年。
そういえば、野球やってるってこの間いってたな。
「試合?」
「みたい。最後の試合だから応援に行きたいの。
でも、一人って凄く寂しいじゃん。」
遠回しにあたしについて来いって言っているようなもんで。
「それこそ、友達と行きなさいよ。」
歳の近い者同士で行けばいいと思い発言すると。
「そこをなんとかさ。
お姉ちゃんとあまり一緒に入れたことないんだから。」
「……そうだね、仕方ないから行く。」
そう言われると、何も言い返すことができない。
確かに、あたしと二人は歳が離れすぎていて、遊ぶことが余りなかった。
だから、断ることなんて……
出来るわけないわけで。