「条件は………」
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「ふぅ、ありがとうございました。」
引っ越し屋に荷物を運んでもらい、慌ただしく中身を出していく。
荷物を運び終わった引っ越し屋の人たちが帰ってすぐ、保さんがやってきた。
「しかし、わざわざ一人暮らしするんだな。俺と一緒に暮らせばいいのに。」
保さんは、移動が決まって新しい住まいを探してる最中にもこんなことを言っていた。
確かに、保さんと一緒に暮らしたほうが、色んな面で助かることだらけだけど……。
「いいんです、実家が近いし地元の友達とかもいますしね。」
「ちぇ、一緒に暮らせるチャンスだと思ったんだがな。」
普段凄く大人なくせに、ちょこちょこ子供みたいなところがあるんだよな。
そこがまた可愛いって思っちゃうんだよね。
でも、可愛いって保さんに言ったら怒られるから心にしまっておく。
「ニヤニヤしてんだよ。」
「し、してませんよ。」
こんな風にずっと過ごしていたい。
笑って。
だけど、これからあたしにとって重要な「一年」へとなってしまうことになる。

