「ふふ、幸せそうね。」
上司の皆川さんが、あたしに向かって笑って言った。
「そうですか?
そう見えるなら、幸せみたいですね。」
「何言ってるの、惚気ないでよ。」
「皆川さんこそ、彼氏とどうなんですか?
最近、ご機嫌みたいじゃないですか。」
「なんでわかったの?
すごいわー。」
皆川さんは、本当に驚いていてそれなのに、彼氏の自慢話をし始めた。
聞いていて、こっちまで照れるような初恋のように初々しい話だった。
「今の彼氏さん、本当に好きなんですね。」
「そうよ。
爽華だって……無理してないでしょうね。」
「保さんは、ちゃんと好きですよ。無理してないですよ。
心配かけてすみません。」
皆川さんは、最初に保さんと付き合いだしたばかりの頃にあたしの本心を見破った。
心配してくれてる部分もあり、あたしのお姉さん的な人だ。
「ゴホン。」
部長の咳ばらいで、慌てて作業に戻るあたしたち。
今夜8時に間に合うように仕事を終わらせるように急ぎ気味で進めた。

