「浅倉くん、君に支店を移動してもらうよ。」


24歳が後少しで終わりそうな今日この頃。
あたしは、いきなり支店の移動が申しつけられた。


「あたしがですか……。」


内容は、今度内の会社の系列店が新しく誕生するらしく、そこに移動となったというもの。



「期待しているよ。」


部長は、あたしの肩をポンッと叩いて去っていった。
あ、あたしに断るって言う選択肢は相変わらずないわけね。


「ふぅー、移動か……。」


別に移動が嫌とかじゃない。
けど……


「ため息か?」


「え?……た、西条さん。」


一人考え事してると、上司である西条さんが絡んできた。


「その支店の場所、お前の地元なんだろ?
ん、元彼がいるとかか。
うんうん。あ、」


西条さんは、あたしの耳元で
「8時にいつもの店な。」と囁いた。

無言で頷くあたしをみて、西条さんは持ち場に戻った。