「謝んな。
俺が好きで助けたんだし。
しかし、怪我なくてよかったな。」
「……ありがとう。」
勝手に手当して、保健室を退散した。
近くで先生たちが話していたことが聞こえた。
「しかし、何故に照明が落ちてきたんでしょうね。」
「随分と古いならわかりますが、まだ新しいのに。」
確かに、あの特設ステージはあたしたちが高校に入る前に買ったって先輩が言ってた。
だから、それが不意に落ちるなんてこと。
「悪戯でしょうかね。」
「悪戯にしては、危険すぎます。今回は、酷い怪我人がいなかったからよかったものの。
もしかしたら……。」
雄貴があたしを守ってくれなかったら、あたしは重傷の怪我してたかもしれない。
しかも、今日は劇の相手役が怪我して出演出来ずにいた。
間接的であたしには、被害なかったけど。
劇ができなかったかもしれない。
そして、照明が落下って。
ただの偶然なのだろうか。
あたしが、雄貴の横で難しい顔をしていた時に。
近くで不敵に笑ってる人がいたなんて知らなかった。

