「部長!! 大変です。」 本番2分前に、演劇部員の子が酷く慌てて舞台裏に駆け込んできた。 「本宮くんが、昨日マンションの階段から滑って足を骨折したそうなんです。」 「は? 骨折しただと!?」 本宮くんは、あたしの相手役の人で、結構主要キャラだ。 いや、結構じゃなくて重要だと思う。 「どうすんだよ!! 骨折じゃあ、出演できないじゃないか。」 「部長、どうしますか。 代役が……。」 「だれか、しっかりと台詞覚えている人はいないのか?!」 部長が頭を悩ませている間に劇は、開幕してしまった。