悪い子には、見えないんだけどな。
ただ純粋に雄貴のことが好きって見える。
あたしは、雄貴と西澤さんを見ながら思っていた。
「最近、雄貴と帰ってないみたいじゃん。」
久しぶりに、恭ちゃんがあたしの教室に来た。
恭ちゃんの質問に答えるべく、あたしはあたしたちがいる反対側のドアを指差した。
「あぁー、そういうことな。」
恭ちゃんは、瞬時に謎が解けたらしく納得していた。
「いいのかよ。
雄貴、取られちゃうぜ。」
「別に、あたしの物じゃないし。」
意地を張って言っても、恭ちゃんには分かるらしく頭をポンポンと撫でられた。
「寂しいんだろ?」
「敵わないなー、恭ちゃんにはなんでもおみとおし?
本当言うと、ちょっとだけ寂しいんだ。
いつも一緒にいた、雄貴が取られちゃうみたいで。」
内緒だよ?って恭ちゃんに言って、あたしは笑った。
あたしと恭ちゃんが二人で帰っていく姿を雄貴が切なそうに見ていたなんて知らなかった。

