懐かしい町並みをタクシーの中から眺めていた。
少したち、ようやくあたしの故郷が見えてきた。
「……っあ。」
運転手に話しかけて、タクシーを止めてもらった。
とっさにタクシーから降りて、懐かしい町並みを見ながら進み出す。
「懐かしい…。
この公園、何年ぶりだろう。」
全ての始まりは、この公園だった。
唯にあったのも、恭ちゃんと友達になったのも……
そして、君に出会ったのも。
ミーン…ミーン…
「にしても、暑い!」
蝉の鳴き声がこれでもか!
ってくらい響いていて、ジワジワと熱風が込み上げる。
夏になったって思う。
あれから、何年夏がやって来たんだろう。

