「え? どうしたの?」 明らかにびっくりしている唯が、目の前にいた。 頬を伝う涙。 なんで、涙なんて流れたの? 「ゴメン、ちょっとトイレ。」 なんで……。 どうして? 別に悲しくなんてないのに。 自分に何でもないと言い聞かせて、唯の元に戻った。 「大丈夫?」 「うん、へーき! 目にちょっとゴミが入っただけだったから。」 あはは、と唯に心配をかけまいとついた嘘。 大丈夫だよ。 何でもないんだよ。 ゴミが入っただけだから。