「…………あ゙ー、……なんで学ラン着てんの?」
やっと口を開いたかと思ったら、そんなこと。
………さっき言いかけていたものとは違うみたいだけど。
「………別に、なんとなくかな?」
「………」
彼が本気で聞きたいわけじゃなさそうだったこともあり、適当ににごした。
だが、それがいけなかったのか不思議そうに首を傾げる。
………どうやら多少なりとも興味をそそられたようだ。
「………それ、うちの学校の学ランだろ」
と言って指さした場所はあたしの左の胸元。
そこにはこの学校の紘章が描かれている。
「そうだけど?」
それが?みたいな感じに質問返しをした。
相手もそれであたしがしゃべる気がないとわかったのか、もともとたいして興味がなかったのか「………なんでもない」と言って視線を外した。
「あ。これ」
あたしは諦めたのを見て、自分にさっきまでかかっていた毛布を顔をこちらに向けた彼に差し出す。
それを持ったまま、近づきふわりと座ってる彼の頭にかけた。
