「なぁ…宗介」
「んー?」

 とある屋上のフェンスに手をかけながら、下に広がる光り輝く街を眺める少年、榊龍之介は近くの地べたで座りながら自分の武器である拳銃の手入れをしている少年斎藤宗介に静かに話しかけた。宗介は手入れをしながら耳を龍之介に傾ける。

「…俺、WS辞める」
「…」
「…今までありがとな」

 龍之介はそう小さく微笑みながらそう呟き、宗介に背を向け屋上から出て行こうとした。そんなとき、龍之介の頬を弾丸がかすめた。つい、戦闘態勢に入る龍之介。そんな龍之介を見て宗介は小さく笑った。

「今の一発でオレの弾丸ぜーんぶなくなった」
「は?」
「だから、オレもやーめた」

 にっこり、と効果音がつくくらい綺麗に笑う宗介に、龍之介は呆気をとられた。そして器用に拳銃をクルクル回し、龍之介に話しかける。

「龍のいないWSなんて、おにぎりに具がないのと一緒だよね」
「は?」

 意味がわからない宗介の発言に龍之介は目を見開く。宗介は「よっと」と立ち上がり、龍之介に近寄る。

「オレもWS、やめるよ」
「は?いや、お前は夢があるんだろ?」
「んー?」

 昔聞いたとき、宗介は夢があるからWSに入った、と言っていた記憶がある龍之介は自分と一緒にやめる宗介をとめる。宗介は何故龍之介が自分をとめるのかわかり、またにこりと笑った。

「うーん、龍之介と一緒にいた方が楽しそうだし、なにより、ちょっとWS疲れた」
「はぁ」

 宗介の自由奔放な性格についため息をする龍之介。

「まぁ、いいじゃん」
「…そうだな」


 この日、WSは大事な主力の二人を失った。

『特殊部隊第1番隊隊長、榊龍之介
特殊部隊第2番隊隊長 斎藤宗介

同上の者を見つけ次第捕獲!』