俺の足は会社へ向かって進んでいたけど、君と耳かきサロンで一杯の心はビルに置き去りになっていた。


俺のオフィスは8階なのに間違ってエレベーターで6階のボタンを押していたし、ラーメン屋から持ってきたはずの爪楊枝をどこかに落としてきたらしい。



…しっかりせねば



「なんすか、平井さん。おかしな独り言を言わないで下さい。」


向かいの席に居る島田がペンを回しながら俺の顔を見ている。



…俺、なんか口走ったのか?



「平井さん、みがきサーモンて言ってましたよ。」


「耳かきサロンだよ!!」


…しまった!あまりにも島田がバカな聞き間違いするから…


「はぁ?耳かきサロンがどうかしました?」




「…島田は耳かきサロンて行った事あるか?」


「そんな所ありませんよ。箱の中で女の子に会うなら癒やしよりもサービスして欲しいですから。」


「…下品な奴だな。」


「別にいいじゃないですか!で、その耳かきサロンがどうかしました?」


島田は少し不機嫌そうに腕を組んで聞いてきた。