私の中の子供達

俺は少しでも寒さをしのごうと、トレンチコートの襟を立ててポケットに手を突っ込んで歩いた。



「わー、寒い。ねぇ、やっぱりスープカレーにしない?」

「あっ、それいいね。じゃあドミニカとエス。どっちに行く?」



2人組みのOLがこんな会話をしながら小走りで通り過ぎて行った。


北国の人間にとって雪が降る事は何も珍しくはないが、それでもやはり初雪は少しだけ特別だ。皆が口を揃え「寒いと思ったらついに降ったね。」などと会話をする。


こんな日はいつもより余計に温かいものが恋しくなる。



俺はラーメン屋の赤い暖簾をくぐり、店へ突入した。


「らっしゃい!」


ねじりハチマキをしたオヤジさんがいつもの様に威勢よく声を出す。店は昼時なので結構混んでいる。


俺は丁度1人分だけ空いていたカウンター席に座り、水が出される前に味噌ラーメンと小ライスを頼んだ。