コイノユクエ

うそっ!?どっどうしよ!
私達二人の他に誰もいない雨宿り。
二人っきりの空間。

「すごい雨だね。通り雨かなぁ」
彼が私に話しかけて来る。
「そっそうですね!」
初めて聞く彼の声にドキドキしながら答える。

彼の描きかけのキャンバスに目が止まる。

「絵、大丈夫ですか?」

「なんとか大丈夫そう。
君、いつもこの公園通るよね」
彼は私に微笑みかける。

知ってた!
私の事!

「高校生?」
彼は更に私に質問する。

「はい!あのー」

「俺は美大生」

私が聞きたそうにしていたのがわかったように彼が答えてくれる。

暫くの沈黙。
降り止まない雨。
少し濡れた彼の髪。
思わず触れたくなるような長い指。