「朝日君、来てくれてありがとう。」

「で、用って?」


「あの…ね?


私と付き合ってみない?」

「え?」

「まだお互いのことも知らないし、だから互いを知るためにもどうかなって…」

「…ごめん。」

「…そっか〜。

朝日君、好きな人でもいるの?」



「お願い。

いないって言って…」

真知が祈る。

「渚、瑠璃。

真知を抑えとけ。」

「了解した。」

「わかったけど…何で?」


「良いから。

取り合えず従っとけ。」






「好きな人って言うか、気になる奴が…


いや、やっぱり好きなのかな…」

「なーんだ…

じゃあ、良いや。


またね。」


女子が立ち去った。




「…そっか。

あいつ、好きな奴が…

っ!」


真知が走り去ろうとする。


ガシッ、

「逃げる必要があるのか?」

幸大はマイクをしまいながら言う。

「え?」

「朝日の言う好きな奴が真知ならこの話しは大団円で終われる。



さて、行くか。」


幸大たちは物影から出る。

「おい、朝日!」

「幸大、見てたのか?」


「ああ。

ってかこんな広い場所のど真ん中なら見てたも何もないだろ。


で?

姿は見えたけど声は聞こえなかったからな。」

「断ったよ。」


「そうか。

まったく贅沢な奴だ。」