「最後に?

何か言ったの?」


「ん?

貴様、主からの伝言を伝えなかったのか?」

「…。」

「何て言ったの?


言いなさい。」

「その…

姉さんが誰とつるもうが、どんなことをしようが知ったこっちゃねぇ。

賭けの約束だけは守れ、と。」

「そう言ったのね?」

「一言一句…とは言えませんが意味は間違いないかと。」


「幸大君はきっと完璧な悪役にはなれないんだろうね。」


「敵に無駄な情けをかけるとは…」

「姉さん、こいつらの言うことを鵜呑みにしてたら…」


「きっと、本当のことよ。」

「え…、姉さん?」

「何発も叩かれたのにアザも手形もつかない平手打ちなんかないわよ。

それに、人を気絶させたほどの攻撃が赤くもなってなかったんじゃない?」

「はぁ、まぁ。

確かに腹も赤くなってませんでした。

でも、それは保健室に運んでから調べたんで…」


「皆のことだからすぐに運んだし、すぐに調べたんでしょ?


それに、私の頬は叩かれてた時は確実に赤くなってたわ。

それがあれだけ叩いても赤みがひいていたなんて…

手加減にもほどがあるわよ。

こっちは本気で向かっていったのに。」