「〜〜〜っ!」

真知の顔が真っ赤になる。


「あぁ!

もう我慢できない!

私、前に出てくるから!」


真知が走り去る。


「はぁ。

真知ちゃんには逃げられるし、話し相手はいなくなるし…


暇だな。」



遠くの真知を眺めながら朝日が言う。





前線

「真知、来たの?」

「…。」

「真知?」

クラスの女子が話しかける。

「あ、え?」

真知が言う。

「どうかしたの?」


「…ナンパ、されちゃった。」

「え?」

「しかも、つい、断ったって言うか逃げちゃった。」

「何の話?」


「…はぁ。」

真知が溜め息をついた瞬間。

「ロングシュートですわ!!」



「真知!?

危ない!!」


「え…?」


バチィンッ、

完全に力を抜いていた真知の顔面にボールが当たる。


ドサッ、

真知も後ろへ跳ばされた。

「真知ちゃん!!」

いつのまにか朝日が駆け寄ってきた。

「はやっ!」

クラスの女子が言う。


「大丈夫みたいだ。

気絶してるな。」

幸大が言う。

「あれ?

幸大君いつのまにかあっちにいるし…」

ゴール前の皐が言う。

「保健室につれてかなきゃ。」

朝日が言う。

「朝日、真知を頼んだぞ。

俺は先生に報告してくる。

残りの皆は試合続行だ。」


「よいしょ!」

朝日がお姫様抱っこする。

「あれ?

なんか顔も青い気が…」


「あ、そう言えば真知。

今朝は遅刻ギリギリで御飯食べてないって…」

クラスの女子が言う。

「貧血かもな。」


朝日が保健室へと走り出す。