幸大、朝日、夕日は学校に向かう。


「はぁ…何か行きたくねぇな。」

朝日が言う。

「お前らしくないな。

初日は女子がいっぱいだからって喜んでたのに。」


「女子はいっぱいでも親しい子がいないし…」


「そんな暗い顔なんかしないの!」

バシッ、

朝日が背中を叩かれた。

「真知ちゃん。」

「もっとシャキッとしなさいって。」

「真知さんとお兄ちゃんはけっこうお似合いだと思いません?」

夕日が言う。

「ああ。

互いにまんざらでもないみたいだしな。」




「ん?

幸大、渚先輩だ。」

朝日が言う。


「来たか。」

渚先輩が幸大の方へ歩いてくる。

「鞄を持とう。

そっちのアタッシュケースも持つ。」

「え?

渚先輩、いきなり何言ってんだ?」


「君こそ昨日の賭けを忘れたのか?」

「いや…そうじゃねぇけど…」

「まぁ、私は覚悟を決めたからな。

君が賭けを無しにしようとしても無駄だ。

鞄を。」

「ああ。」

幸大は鞄とアタッシュケースを渡す。

「あの、渚先輩…」

「君はその敬称と言葉遣いがバラバラだ。

私を先輩と呼ぶなら言葉遣いも敬語にしたほうがいい。

敬語が嫌なら先輩と呼ぶ必要もない。」

「じゃあ、渚で。」

「あ、ああ。

それでいい。」

渚は少し頬を紅くする。