「じゃあ、俺は帰るんで。」

幸大が言う。

「うん。

今日はありがとね。」

睦月が言う。

未だに泣き止まない渚にも『じゃあな』と声を掛けてその場を後にした。






帰り道

「それにしても、幸大君ってスゴいね。

木刀を木刀で斬っちゃうんだから。」

「まぁな。

でも渚先輩ならできるんじゃねぇかな。」

幸大が言う。

「それにしてもあの賭けってマジの話?」

朝日が言う。

「渚先輩次第だな。

あっちが賭けのことを口に出さなかったら別にうやむやのままなかったことにしても良いし、

あっちが賭けのことを口に出したらもちろん賭けは有効。

例え、賭けは本当にやるのかって質問でも有効だ。」


「ですが、召し使いなど破廉恥ですわ!」

麗美が言う。

「どこがだよ…

変な想像をするな。」

「…。」

閖が少し後ろから全員を眺める。

「閖、どうかしたの?」

「あ、いえ…

何でもございません…」

「閖さん、何かあったら相談に乗りますよ?」

夕日が言う。


「いえ…

今はまだ…」




この日はそれ以上深くは追究しなかった。