「準備は万端だ。」

幸大たちは一人一つバケツを持つ。



「…。」


「麗美、どうかしたのか?」

幸大が言う。

「今から行う作戦…

私には荷が重いですの…」

そう言う麗美の身体は少し震えていた。

「ったく…

渚、瑠璃。

階段の手前まで先に行っててくれ。」

「了解した。」

渚が言う。

「はやく来なさいよ。」

瑠璃が言う。


二人が家庭科室から出たのを見届け幸大は麗美の方に向き直る。


「バケツを置け。

ここで中の水を撒かれたら困るからな。」

「わかりましたわ…」

麗美がバケツを下ろすと幸大もバケツを下ろした。


「なぁ…麗美。」

「なんですの?」


「いつか、お前にも借りを作らせてやる。」

「え?」

「いつものメンバーでお前にだけは名目上、借りを作らせてない。

だから…いつか、必ずだ。」