「でも、壁の穴を空けたままだけど良いの?」

真知が下駄箱の所で言う。

「ああ。

さすがにこれを一晩でやるには俺だけじゃ限界だからな。

プロにやらせる。


まぁ、金持ちの特技だ。」



「あ…」

夕日が言う。

「校門が閉まってますわ…」

「私たち、下校時間を大分過ぎてしまいましたから。

困りましたね。」

閖が言う。

「この高さじゃ越えるのは厳しいわね…」


タンッ、

幸大がジャンプして校門の上に立った。


「トリャァッ!」

朝日も助走をつけてジャンプ。


ガシッ、

「くっ…」

手が校門の上に引っ掛かる。


「ほらよ。」

グイッ、

幸大が朝日を片手で引き上げた。

「サンキュー。

しっかし、さすが金持ちの学園。

塀の高さも校門の高さも半端ねぇな。」

朝日が感心する。

「私たちはどういたしましょう?」

閖が言う。

「あ…。」

「忘れてた…。」

朝日と幸大が言う。

「ジャンプしてくれたら手を掴んで引き上げるけど…」


ピョンッ、

一番運動神経の良い真知がジャンプするが幸大の伸ばした手には届かない。


「な、何でこんなに校門が高いのよ!!」


真知が校門に文句を言う。