「あのさ、幸大と朝日っていつ頃出会ったの?」

真知が言う。

「いつ頃だったかな…

確か、小学生になる前だよな?」

幸大が言う。

「ああ。

あの公園で…

幸大と始めて出会ったんだよな。

でも何で会ったんだっけ?」


「はぁ…

お兄ちゃん

私たちは幸大さんに助けられたんでしょ?」

「そうだっけ?」


「はぁ…

良いですか?」










―十数年前―


公園


「返して!」

小さな夕日はランドセルを背負った小学生たちに帽子をとられていた。

「お前ら!

さっさと返せよ!」

朝日も頑張るが小学生になっていない朝日もなかなか敵わない。


「うぇーん!

返してよ…

うぇーん!」

夕日が泣き出す。


「やーい、泣き虫!」

小学生が馬鹿にする。

「このやろう、返せよ!」

朝日はさらに頑張る。

「ほい、パス。」


「オッケー。」

帽子を投げた瞬間。

ヒュッ、

「え?」


ぱしっ。

一人の少年が帽子をとる。

その少年は手に針金の付いたゴムヒモ。

それを使い、釣りのように帽子を引き寄せたのだ。

「ほら。

君の帽子でしょ?」

夕日に帽子を渡す。