「だとしても、彼が麗美との賭けに勝ったのならどうする気だったのか…」

「まぁ、彼なら適当に理由でも…


まさか…」

タッ、

麗美は走って家の中へ。

そして、幸大が伏せていったカードを見る。

「なんですの…これは…」


麗美は携帯を取りだし電話をかけた。


「もしもし、幸大ですの!?」

『ん?

どうかしたのか?』

「どうかって…あなたは…」

『なぁ、麗美。

知ってるか?』

幸大は麗美の言葉を遮る。

『ポーカーで勝負を受けてコールする際に、相手の手札を見た上で自分の手札を明かさなかった場合はどうなると思う?

賭けは相手の勝ち。』


「え?」


『例え俺の手札が麗美より強くても手札を伏せて席を立った。

その瞬間に俺は負けたんだよ。』

「なっとくいきませんわ、こんな惨めな勝ち方!」

『覗きをした御嬢様への罰だ。

俺が山姥だったら

見たな〜

とか言って包丁を振り回すところだぞ?

ま、もし俺が鶴なら織物を置いて飛び立つ。

じゃあ、俺は今から学園だから。』

「今からですの?」

『午後からプールだからさ。

じゃあな。』

「ええ。」

麗美は携帯をしまう。


「麗美…」

「御父様…これ。」

幸大の手札を渡す。

「スペードのロイヤルストレートフラッシュ…

最強の負け札とは…」

「キザにもほどがありますわ!」

「彼は…良い人じゃないか。」

「当然ですわ!

そうでなければこの私が惹かれるわけがありませんの!」