「ショックで病状が悪化したのか。

病は気からとはよく言ったもんだ。」

「私は…

何もできませんの…。

何も…」

麗美の目から涙が…


「泣くな、天王寺・グレイシア・麗美!」


ガッ、

胸ぐらを掴み立たせる。

「当事者の親父さんが頑張るって言ってんだ!

そして本来なら親父さんを支えるお前の母親は親父さんを支えれないんだろ!?

だったらお前が支えてやれよ!」


「私には無理ですわ…」

「最初っから諦めんじゃねぇよ!

いつものお前らしくねぇぞ!


こんくらい余裕かまして笑い飛ばせよ!

お前はいつも通りお高く止まってれば良いんだよ!」


「…、わ、

わたくしはそんなにおたかくありませんわよ!」


バッ、

麗美は幸大の手を振り払う。

「今日は帰りますわ!」

「授業は?」

「早退しますの!

先生には伝言を頼みますわよ?」

「ああ。」

「それでは。」

「あ、待った。」

「なんですの?」

「ほらよ。」

幸大が携帯を投げる。

パシッ、

「ナイスキャッチ。」

「これ…私の…」

「皐が教室で落としたやつを拾ったんだよ。

まぁ、頑張れよ?」

「私に不可能はありませんわ!」


麗美は屋上から走り去る。