突然、開放されたカラダに
ついていかない思考回路




「あ~っ!!
ずるいヨ!!美樹~!!」


「フンッ、うるさいわねー!
役得でしょ?役得!!」


「いかーーん!!
ミューに触れるのはゆるさーん!!」




それに…
聞き覚えのない声
見覚えのない姿で
ギャーギャーと言い合う
うるさい黒スーツ男たち。




この人たちの声に
聞き覚えはない


この人たちの姿に
見覚えはない






でも……
この空気感だけは知っている。




このあたたかで
やわらかで
私を抱きしめ、甘えさせてくれる
この手を……







私は誰よりもよく知ってる。





小さな頃から
守ってくれたこの温かな手を
私は誰よりもよく知ってる――……





「お前ら…何者だ??」




蹴り上げられた右手を押さえながら
ヨロヨロと立ち上がる、ジーク。





そんなジークをみてニシシと笑うと、黒スーツ男達はアゴの下辺りに手をかけてビリビリビリっ!!とフェイスマスクのようなものを一気に剥ぎ取る。





そして絡まった髪の毛を振り払うようにブンブンと首を振ると、ジークにむかってビシッとバシッとこう言った。






「俺達は…探偵だ!!」