それでも。
あの異常な環境で育った私の神経は
やっぱりどこかおかしいらしく、
こんな状況のクセに
泣き叫ぶでもなく、
焦るでもなく、
どこか冷静で
妙に頭が冷めてる私。
コレも環境のなせるワザなのかなぁ、
と思いながら私は
「ちょっと!痛いんですけど!!」
ジークに悪態をつく。
するとヤツは撃鉄に力を入れて
更に強い力で
銃口をぐっと頭に押し付けながら
「へーぇ、この状況で俺に逆ギレするか。」
抵抗はさせない、と言わんばかりに
ヤツは私を“暴力”という名の凶器で
押さえつけようとする。
――もう!!こういう男、大ッキライ!!
イライラしながら
「するわよ!だってこっちは理不尽に
命奪われようとしてんのよ!?
逆ギレするのが普通でしょうが!!!」
勝手に殺されて、たまるかーっ!!
ギャオー!!とマンガで書いたら
クチから巨大な炎が出ているであろう
私の剣幕。
そんな私を見てアハハ!!と高らかに笑うと、
「気に入ったね。その気の強さ。
好みだよ、小娘。」
そう言って撃鉄からそっと
指をはずした、ジーク。
「ありがとう。
アンタみたいなサド男に好かれるなんて
身に余る光栄だわ。」
頭の中でケッ!!と悪態つきながら
ミキちゃん直伝の笑顔で
ニッコリ微笑むと
「…ふっ。おもしろい。
この俺にそこまでたて突くオンナは
オマエが初めてだ。
気に入った!!気に入ったぞ!!」
そう言って
ジークは私の頭に突きつけていたピストルを
自分の胸ポケットにスッと隠す。
そして私の顔の目の前に
しゃがみこむと
ニッコリ笑ってこう言った。
「小娘。
気に入ったついでに話してやるよ。
この工場の目的を…な。」


