ジークが撃鉄に力を込めたその瞬間、
「ちょっと待った!!」
私はそう叫んでジークをグイっと睨んだ。
「どうせここで人生終わるんなら、この工場の秘密を教えてよ!!」
そうよ!
このまま死んだら死んでも死にきれない!!
殺される理由もわかんないまま秘密裏に殺されるなんて、まっぴらゴメンだわ!!
「この偽札工場の目的は何なの?
なんのためにこんな所にわざわざこんなモノ作ったの??」
ジークにそう尋ねると
「はぁ??お嬢ちゃん、何言ってんの。
コレから死ぬってヤツの言うセリフじゃねぇぜー??」
「そうそう。普通は男でも泣き叫ぶぜぇ?
この状況はよぅ!!」
何故だかわからないけれどギャハハと大声で笑い出す、黒スーツ軍団・その他大勢。
――キイーっ!!バカにして!!
大の大人、3人がかりで床に押さえつけられ
眉間には拳銃を突きつけられた、私。
普通じゃあり得ない、状況と
あり得ない、私の要求。
わかってます。
頭おかしいのは百も承知ですよ。
でも……
「外野はちょっと黙ってて!!
私はこのジークって男に聞いてんのよ!!」
どうせ死ぬなら納得してから死にたいのよ!!
私は!!!
ギロっと下っぱどもを睨んで
「ジーク。取り引きしましょ??
ここの秘密、私の命と引き換えに教えなさい。」
大胆不敵に私はジークにニッコリ優雅に微笑む。
「私が死ぬにふさわしい理由なら、この命、アンタにあげるわ。」


