ジークと呼ばれたこの男
長めの銀髪に
すらっとした長身に
整った顔立ちが印象的な色男だ。
きっと、普通に街にいれば誰もが目を引くイイオトコなんだろう。
でも……
サングラスの奥に隠れた瞳は誰よりも冷徹で、するどくて、威圧感に溢れている。
多分この人は
人を傷つけることも、踏みつけることにも躊躇もしなければ、後悔すらしないタイプの人間なんだろう。
「まったく…
この扉を蹴り破ったりしなければ、思い出に残る楽しい休日を過ごせたものを…」
そう言って
虫けらでも見るような目つきでジークは私の顔をじっと見つめる。
「残念だな、小娘。
オマエの人生はココで終わりだ。
この工場を見つけてしまった自分を呪うがいい。」
高圧的な空気感に
威圧的な言動
この目を見るだけでわかる。
この男は人を殺すことにためらいを持たない人種だ。
殺すと言ったら必ず殺す
そういうタイプの人間だ。
――私の人生こんなトコで終わりなの~っ!?
そう思うとガックリと力が抜けて、今までの16年間が走馬灯のように甦る。
シスコン兄貴に囲まれて
女豹のような母親に育てられ
お父さんは早世。
初デートは16歳。
完全に失敗した挙句、わけのわからない偽札工場を発見し、黒スーツ軍団に取り囲まれ命を落とす……って!!!!!
私、不幸すぎないかい!?
びっくりするほど可哀想じゃないかい!?


