「あら、おかえり。美優。」



夜会巻き風のアップした髪型に
スリムな黒いパンツスーツ
胸元には一粒ダイヤのネックレス
足元にはお気に入りのフェラガモのパンプス



40代後半のクセに20代後半と言っても
おかしくない格好に、美しい肌つや



最近お気に入りのまつげエクステの入った
目元はゴージャスで、驚くほど整った顔立ちの
パーフェクト・オンナ



それが私の母・神崎律子だ。





お母さんは部屋の奥
中央に置かれた大きなデスクの上で
書類に目を通しながら
私に向かってニッコリと微笑む。





「美優ちゃん、おかえり」

「おかえり、美優ちゃん。」





神崎探偵事務所にはお母さんをトップに
探偵さん・事務職さん・顧問弁護士さんの
合計10人が働く探偵事務所。




普段探偵さんは外に出てるから
あんまり顔をしっかり見たことはないんだけど…



人探しから、少し人には言えない依頼まで
幅広く依頼を受けている優良事務所…らしい。
(お母さん曰く)