「いいか?ミュー。
ババァが仕事終わるまで大人しく
事務所で待ってろよ??」


「うん、ありがとね。
聖ちゃん。」




私はいつも放課後になると事務所に来て
お母さんの仕事が終わるまで待っている。


なんでそうしているのかはよくわからないけれど
コレは小さい頃から続く習慣のようなもの。





『いい?美優。
あなたは女の子なんだから放課後に
一人でいては絶対にダメよ??
外でいるときも必ず誰かと一緒にいなさい。』





小さい頃からお母さんにそう言われて育った私。
それを知ってる聖ちゃん達は、放課後になると
家ではなく事務所に私を連れてくる。




そして私が事務所の扉を開いて
中に入っていったのを確認すると
聖ちゃんはバイクを走らせて
自分の店へと戻る。





こんな生活を続けて17年
私を愛して守ってくれる聖ちゃんたちに
感謝はしているけど
私だってもう高校生!!



恋もしたいし
放課後にトモダチとも遊んでみたい!!




そのためにも私はこの初デートを
成功させて見せるっ!!!!






そう意気込んだ私は事務所の扉を開けると


「お母さん!!話があーるっ!!」


フロアの中央にデンと座っているお母さんに
向かって、私はドカドカと歩いていった。