なんて、楽観視しながら、ゆうに面の皮1枚分は厚くなった自分の顔を鏡で見て、レオンくんのさすがの腕前に感心してると


「ま、コレはいわゆる囮作戦です。」

「……はい?」

「ま、相手はクルセイドですからね。恐らく美優の存在にピンとくれば、ヤツらは美優を拉致するはずです。」


総ちゃんは涼しい顔をしてこんな恐ろしいことを言い始める。


「ら、拉致??
その前に守ってくれるんじゃないの……??」


その言葉におののきながら聞き返すと


「言ったでしょう?これは攻めの作戦だ、と。美優に群がるクルセイドの雑魚を相手にしたところで、本丸にはたどり着けません。」


「本丸にたどり着くには、ある程度のエサが必要なんだヨね。ソーイチロー。」


「その通りです。」


だなんて、総ちゃんとレオンくんが口を揃える。


だ、ダメだ!この2人は話にならない!
ここは頼れるお姉ちゃん。ミキちゃんに助けてもらおう!!


そう思ってすがる思いでミキちゃんを見ると



「狙うはある程度の中ボスってところよねぇ。日本にいるクルセイドの工作員のNo.1を叩けると……大分時間も稼げるんだけど。」


「そうなんです。狙いはソコなんですよね。
ってことで、美優。そこにたどり着くには美優の力が必要なんですよ。頑張って誘拐されて、拉致されてきてください。」


「え、ええっ?!」



残念ながらミキちゃんにも見放されているご様子の私。




嘘つきーー!!
私の身に危険が迫ってるから、私を守るために学校休めって言ったくせにぃーっ!!



嘘つきで人でなしの兄たちの横暴さと、酷さに悲しくなってシクシクしてると


「だーいじょうぶだよ!
俺の作った高性能の盗聴器にはGPSもついてるからさっ!」


空気を読まない陸ちゃんが、胸をドーンと叩いて、にっこり笑う。



いや……
GPSつけてようが、盗聴器つけてようが、護衛されてようが、誘拐される前提で話を進めるなんて、ひどくない?!


ばかーーっ!!
何のための護衛なのよー!


ギリッと神崎ブラザーズを睨みつけると、お家の玄関の扉がバァン!と壊れるくらいに勢いよく開いて。


「ニャハハハハー!
準備は出来たか、お前達!毒蛇のアジトに突っ込むぜー!ニシシシシッ!」



我が神崎ブラザーズの長男。神崎聖哉が帰ってきた。