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お母さんの「学校に行くな!」宣言の翌日。ミキちゃんは偽の診断書を学校に持って行って、私の1週間の出席停止を手に入れてきた。


「ふふっ。オタフク風邪だって言ったら……先生方ビックリなさってたわ。」


そう。高校生にもなってオタフク風邪だなんて……!と友達からは心配のメールと、担任の先生からはねぎらいのお電話がかかって来ていたのだけれど、それらの全部はミキちゃんが丁寧に処理をしてくれていた。


そうして私は家でゴロゴロ、日がな1日を怠惰に過ごしている……ワケではなく!!!


「美優~!そろそろ行くわよー!」

「ま、待って、ミキちゃん!まだレオン君のお化粧が終わらなくて……っ!!」

「Oh!So cute!!
食べちゃいタイくらいカワイイです、ミユウー!!」

「うぎゃっ!やめてー!レオン君ー!!」



私はお母さんのお言いつけで、バイトを始めることになった。



「うん!可愛くなった!
バシバシのつけまつ毛に凹凸メイク!少し清楚な黒髪ロングのカツラにヌーブラで上げ底した豊満なバスト!素顔は完全に隠したわねー!いいわよ美優!今日も一番人気間違いなしね!!!」




よりにもよって危険の迫るclub:アマービレで!!


全くー。
出席停止をいただいた次の日には、お店に出勤させるんだもん。お母さんの行動力には恐れ入るというか、呆れるというか……。


「大丈夫です。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。クルセイドが何をしてくるかはわかりませんが、オドオド怯えて隠れるよりも、攻めに出た方が逆に美優を守りやすいんですよ。美優には陸の作った盗聴器をつけ、聖哉とレオン、それに美樹を護衛に出します。」


でも、総ちゃんがこう言ってくれるから、少し安心なんだけどね。


それに……



「だーいじょうぶだよ!美優!店のあらゆる場所には監視用の小型カメラを付けといたし、怪しいとこがあれば俺がちゃんとみんなに伝えるから!」



我が探偵事務所のメカニック。陸ちゃんもこう言ってくれてるし、なんだかんだで、万全の体制を引いてくれてるから……大丈夫かな?!