「まぁなー。プライド持ってやってる人が多いし、美樹の勤めてるランクの店のホステスなんて、びっくりするぐらいインテリだもんな。」


「ウンウン。ボクも一回お仕事で寄らせてもらったことあるケド、ママは凄かったヨー。経済のことも政治のこともなんでもよく知っててビックリしたヨー。」



ウンウンと深く深く頷く神崎ブラザーズに



「ま、あたしも探偵業に手を出さなきゃ銀座で店の一つも切り盛りしたかったよねぇ。」




タバコの煙をくゆらせながら、しみじみ語るお母さん。





ーーす、すさんでる!!





さわやかな朝なのにネオンの匂い満載になってしまった食卓をみて、やっぱり我が家はエキセントリックなのだと気づいた、私、神崎美優、17歳。


ハァとため息を吐きながらチーズトーストにかぶりつくと


「なんだか気になりますねぇ…。」



新聞片手にコーヒーをすすっている総ちゃんが、メガネの奥の瞳を光らせる。



「どういうこと?総ちゃん。」


「ま、美優は意味はわからないと思いますが、クルセイドが関わってる匂いがプンプンしますよ。」



そう言って、総ちゃんはコトンとコーヒーカップをテーブルに置く。