ヴィーナス
その言葉に芹沢は明らかにうろたえた。
何故こいつがヴィーナスを知っている?
ヴィーナスの存在はクルセイドの中でも幹部しか知り得ない極秘情報。
クルセイドの唱える世界の浄化に必要不可欠な兵器、それがヴィーナス。
クルセイドと取引をしたあの日、銀髪に紫の瞳を持つあの男は
「我らクルセイドの為にヴィーナスのありかを探せ。この国に隠されていると言う情報は手に入れた。そのためになら…オマエに強大な力を与えてやろう。金も権力も…全てをだ。」
冷酷無比な瞳を輝かせてそう言った。
「し、知らん!ヴィーナスなど…聞いたこともない!!」
それは正直な言葉だった。
全てはこれからだったのだ。
裏社会ではヴィーナスのありかはおろか、存在すら誰も知らなかった。
政界にいる勅使河原と手を結んだのは、その為だった。国の内側から探る気だったのだ。
ヴィーナスを。
「ホントかしら。」
「アヤシイねー。このオジサン、ちょっとウソツキだし。」


