「見張りの人はいなかったので。」
「いなかった?」
「はい。なので申し訳ないのですが、勝手に入ってこの子を探させていただきました。」
そうだよ!
誰か怪しい人がいたら、絶対こんなところ来やしなかったのよ!!よくよく考えたら見張りがいない、そっちが悪いっ!!
なんだか怒りがフツフツと湧いてきて、いつもお母さんに食ってかかるような態度で芹沢に食いつくと
「ほう。面白い女だな。
小娘、俺が怖くないのか??」
興味深そうに芹沢は私を見つめる。
「怖いと言えば怖いのかもしれないけど、怖くないと言えば怖くないです。」
我が家には神様よりも悪魔よりも恐ろしい神崎律子という恐怖の大王が君臨している。
怒った時のお母さんの威圧感なんてハンパじゃないし、真剣に死を覚悟した時だってある。
それに比べれば……
大きな組の組長さんだろうと、同じもののように感じられる。
変だよね。
こんなどうしようもない状況なのに、頭が変に冴えて行く。
「勝手に入ってしまったことは、ごめんなさい。心から謝ります。」
目の前にいる人は総ちゃんが狙う、ヤクザの組長。
なのに冷静な対応が出来ている自分に心底驚く。


