——落ち着こう。
こういう時こそ落ち着くんだ。
変に動くと下手をこく。
腕の中にエリザベスを抱きながら、考えていたのは、ここからどうやって脱出するか。
そーっと抜け出せればいいけど、この状況じゃあそれは奇跡な出来事に近い気がする。
床下から庭に視線を移すと、フラフラと歩いている黒スーツの足が何本か見える。
——ダメかぁ。
多分、ここまで潜り込めたこと自体が奇跡なんだよ。
絶対に侵入不可能だとわかっていたから、勅使河原議員も芹沢って人も裏帳簿のありかをバラしたんだもん。
さーて。
八方塞がりとはこのことよねぇ、まったく。
尻尾は掴んだけど逃げ場がないなんて、バカすぎる。
多分……近くに聖ちゃんがいるはず。カッコ悪いけどここは聖ちゃんに電話して、助けに来て貰おう。
エリザベスを片手で横抱きにしながら、カバンに手を回して携帯を探すと……
「な、ない!」
あるべきはずのものがない!!
どこを探してもない!!
え、えぇ?!
こんな時に限って?!
が~~~ん。万事休す。


