冷静だけど
いつも私にベタ甘だった
総ちゃんが吐いた、
初めての毒舌。
「…え…??」
その視線と言葉の厳しさに、
息が止まる。
「こんな作戦、俺達にとってはザラです。場合によってはもっと卑怯で姑息な手段をとる時だってあります。」
「……。」
「美優。
忘れているかもしれないけど、君はもう探偵なんですよ。
目的のために手段なんて選んではいけません。」
そう言って
私の肩に手を置く総ちゃんは
優しいお兄ちゃんの総ちゃんじゃない。
鍛えられた探偵としての
鋭い瞳と厳しい口調
「いいですか?探偵は理性より感情を優先させてはいけません。
冷静に冷徹に速やかに確実に任務を遂行する。
ソレが……Maria率いる、神崎探偵事務所の掟です。」
――総ちゃん……
私は総ちゃんの真剣な言葉に、コクンと頷く。


