今思えば
あのニヤリ顔が何かおかしいと
勘付くべきだった。


だけどまだまだ半人前の
探偵見習いの私は
悪魔・神崎律子の思惑なんかに
気づくはずもなく



応接室を出ると
“美優専用”と書かれた自分のデスクから、聖ちゃんに電話をかけた。




Trrrr…
Trrrr…




何回かのコールの後




「はい、お電話ありがとうございます。
カフェle ciel clair(ル・シエル・クレール)です。」




いつもの豪快なカンジとは打って変った、カフェのオーナーの顔した聖ちゃんが電話に出る。






ふふっ。
ちゃんと働いてるんだぁ…





家ではどうしようもない、シスコンの聖ちゃんが見せるクールな顔にニマニマしながら





「あ、聖ちゃん?
美優だけど…」





と話しかけると





「みゅ、ミューっ!!!
どうした??
オマエがここに電話してくるなんて
初めてじゃねぇか~!!
惚れたか??
遂に俺に惚れちゃったかーっ!!?」




聖ちゃんは一気にただの
変態シスコンへと変化する。